山田太一さんからの手紙

以前、親の仕事の関係でちょっとしたご縁が出来た作家の山田太一さんに、[SYNAPSE]のCDを送らせてもらった。
著書の中で氏が、キース・ジャレットのインプロがお好きだという文を読んだことがあったので、聞いて貰いたいと思い、
発売になったばかりのシナプスのCDにお手紙を添えて、思い切ってお送りしたのだ。
まさか返事を下さるなんて…!しかも即日。しかももの凄く気に入って下さっている。

嬉しかった。
シナプスを、大変に誉めてくださっている。
全部聴いたあと、部屋でお一人で丁寧に拍手を送って下さった、とあった。

『二人で、リハーサルなしで、こういうセッションがこんなに完成度高く、荒っぽくも、軽薄でもなく、透明感さえある仕上がりになっていることを奇跡のように思いました。』…四枚もの直筆の便箋いっぱいに、山田さんのお気持ちが溢れていた。

思い切ってお送りしてよかった…。
シナプスをやっていて、よかった…。

実は、私の母は、山田さんの作品をこの上なく愛し、いつも何かしら持ち歩いていたのだ。
好きな作品は、16回も読んだ、というくらい、その情熱は熱く、旅行に行く時も必ず持って行っていた。
寝る前にも読んでいたし、(ちょっとミーハーだけど)山田さんとのツーショット写真を凄く大事にもしていたっけ…。

私もそんな母の影響で、山田さんの作品は随分読ませて頂いた。
本の中のキラッと光る言葉にハッとして、生き方にまで少なからず影響を受けたりもしてる。
私も『路上のボールペン』『いつもの雑踏、いつもの場所で』は特に好きで、旅の仕事に持ち歩いている。

そんな大好きな山田さんから誉めてもらって、正直、とても嬉しい。
静かな感動が、ひたひたと体中に満ちている。

母が聞いたら喜んでくれるだろうな…。