2005-06-02 月の記憶 向こうの丘の上に立っている、一本の大きな木一番上の枝にかかっている、蒼い三日月ずっと昔に、どこかで見たような気がする始めて見たような気もする手を伸ばして触ると、ひんやり冷たい記憶の年月の分ひんやりと、冷たい終わろうとしている春と、始まろうとしている夏が枝の上で、まだ眠っている目を覚まさないでもう少しだけ、そっとこのまま気付かれないように、月とそっと指きりした月の雫が、小指からポツンと、伝って、落ちた