母の命日

5年前の今日、母は突然、ひとことも私に断りもなく天国へ旅立って行った。
あんなに仲良かったのに、どうして何か分かるようなサインをくれなかったのだろう。
最初の二年位は母に裏切られたような気さえして、一人すねていた。
ほら、よく「夢枕に立った」とか、「何かただ事ではない気配がした」とか言うじゃない。
全く無かった。前の晩に、いつもみたいに電話で、じゃあ来週くらいご飯食べようか、
なんて話して、オヤスミ、って言って切ったのが最後で、朝、義父からの電話で、
急に亡くなった、って聞いたのだもの。
全く、何の前触れもなく、血管がぷつんとなってサッと逝っちゃった。

5年間か…いろいろあったなぁ。本当に色々。母に聞いてもらいたい事だらけ。
ひとりでちゃんと生きてますよ〜、お母さん。何でもかんでも相談してたのに、
今はひとりで考えて、ひとりで何とかやってますよ〜。

言ってなかった事、いっぱいある気がする。
有り難う、なんて面と向かって恥ずかしくて言えなかったし、ゴメンナサイ、
も大好きだよ、も、思えば一番言いたかった事って何も言ってない。
命日って、けじめかも。今日は写真に言えるかも知れないな。
仕事でまたお墓参りにいけないけど、あなたが大切に持ってたカセットの背表紙に
書いてあった人との旅だから、きっと怒らないね。
四角い字で、きちんと書かれていた名前。「小室等」。
大人になったあなたの娘が、その人とユニットを組む事になるなんて、思ってもいなかったでしょ。
もっと驚くことがあるんだよ。あなたが天国へ旅立った日って、あなたが好きだった
小室さんのお誕生日と同じ日なんだよ。
ほーら、驚いたでしょ。あ、知ってた?そっちの世界は全知全能?
それは失礼しました。