過ぎ行く夏に

もう行ってしまうの?夏よ
海水浴も蝉取りもしていないというのに
ずっとずっといくつもの夏を
そうやって何かを忘れたまま過ごして来た気がする
夕空をトンボばかりが飛び交っている
木々の影がこんなに長い
赤く焼けた道や屋根や街灯や線路を
ひんやりと黙らせた
さっきまで降り続けた雨も今は止んで
何だか静かな秋の夜です
ぼんやりと過ぎ去った日々を想いましょう
長い夢を見ていたような気がします
自分は何をして生きて来たのだろう
なんて、ふと思う秋の夜です