「三月のうた」

♪わたしは道を捨ててゆく、ものみな芽吹く三月に…。

武満徹の「三月のうた」が野山を駆け巡る。
ここはまだ真っ白い、富士山のふもと。
耳を澄ますと、風の音や鳥の声に混ざって、
微かに雪どけの音が聞こえてくる…。
都会とは違う、キン、と冷えた空気が心地よい。

遅い春は、それでも確実にやって来ていて、
目や、耳や、鼻や、頭に、柔らかく囁きかけてくれる。
あんまり急いでいたので、気が付かなかったんだ。
やっとここまで春は辿り着いていたんだね。

歌いながらふと思う。
歌っているのは私ではなく、野山や、春なのかもしれないって。
ここにいる皆かもしれないって。

コンサートが終わって、皆で飲んだお酒は
本当に美味しかった。

5月には、タラの芽や山ウドも芽を出すらしい。
9月には、キノコも出てくるらしい…。
今度来る時は、富士山は、どんな顔を見せてくれるのだろうか…。