嵐の夜の夢

昨日と打って変わって外は豪雨と雷。
下北沢LADY・JANEは、演奏開始前から異様な胸騒ぎにも似た空気に包まれていた。
けれど音が始まったとたんピタッとその空気は変容し、レディジェーンに漂っていた何かがまるで天に昇って行くがごとく、
三つ巴で観客もろともアナザーワールドへと旅立ったのだった。

姜泰煥の凄さを、まざまざと再認識した夜だった。
長年姜泰煥との共演を切望していた斉藤徹のテンションも半端ではない。
止むに止まれない、魂の奥底から迸り出るような音。
今この瞬間しかないのだ。二度とやって来ない、今生の音霊たち…。

その場に居合わせる。または事情があって居合わせられない。
とんでもない事が起きている空気を共有してしまうか否か。
それはその人の運命なんだろうな。