メロン

以前の教え子が、田舎に帰ってから1年経ったこの夏、ふとメロンを送って来た。
18歳から5年間教えていた。いつしかとてもなついて、私の家のすぐそばに越してきた。
教会や学校の文化祭で歌ったり、幾つもの失恋を経験したり、一人暮らしの東京での青春を謳歌した後、田舎に就職が決まり親元へ帰っていったのだ。
気が強いくせに泣き虫で、幾度も彼女の恋の悩みを一晩かかって聞いたりもした。

彼女の心づくしのメロンを食べながら、5年間が走馬灯のように思い出された。
初めて家に来た時、まだまだ子供こどもしていたっけ。
こんなもの送ってくるように成長したんだ。けっこう高かったろうに…。

こんな甘いメロンは初めて食べた気がした。