島唄

初めて朝崎さんの「島唄」なるものを聴いた時の気持ちを、なんと表現していいかわからない。自分の生まれ育った場所で生まれた「島唄」という音楽を70年間も歌い継いできた重み。飾りっ気のない素朴なお人柄。「唄そのもの」という存在が、ぽん、とそこにいる。
彼女の伴奏を務める田中さんという三味線の方の家での「定例会」に、縁あってお邪魔した。
10人ほどの人たちが、次々と歌い、演奏する。奄美の言葉は優しく温かく、全てを拒まずに生きて来た、という島の人たちの人生がそっくりそのまま現われているようだ。
10数曲の唄が終わると、80歳を越えているというその家の主の奥様が煮物や、お刺身や、お漬物や、ビールなんかをどんどん出して下さっちゃう。
美味しい!前の晩から煮込んで下さったという煮物や、新鮮なお刺身は本当に美味しく、そして何よりおばあちゃまは、家に来た人をとても大切にしていた、という亡くなったご主人の意思をそんな風にして繋いで行って下さっていることが素敵だと思った。
大和人(やまとんちゅー)が忘れてしまった大切なもの、きっとこうして大切に受け継がれていくのかもしれないな、と思いました。