大野一雄さん

友人のカルメン・マキさんに誘われて『岡本太郎美術館』で開催されている『肉体のシュルレアリスム・舞踏家土方巽抄』を見に行く。
奇しくも先日、白石かずこさんと御一緒した時その話をしたら、あら、私も出演するのよ、と招待券を下さる。
この頃こういう嬉しい<符合>が多いのだ。
小田急線・向ヶ丘遊園からおしゃべりしながら散歩がてら20分弱の道をブラブラ歩いていく。
岡本太郎美術館』は緑に囲まれた気持ちのいいところ。
大好きな彼の作品を、まずじっくり見て回る。どれも『命』が迸るような素晴らしさ。
本では何度も見てはいたが、本物は迫力が凄い!
作品のひとつ、手の形のイスに座ってみる。フシギな心地よさ。

2:00から展示室で高井富子さんという大野一雄さんの門下生のパフォーマンスと白石さんの朗読。
今回の詩は、以前下北沢のアレイホールでのコンサートで、白石さん、姜泰煥、カン・ウニル、私、の4人で
やったとき朗読された『それから雪が、こぎんの王のものがたり』。

ステージが終わった頃、何と大野一雄さんがいらしていて、車椅子ごとステージに。
何か小さく呟き、天を仰いだ顔が少し揺れて、フワッと掲げた掌がひらひらと蝶のように舞った。
涙が突然溢れた。やはり凄い!やはり大野さんだ!これだけの動きなのに、そこにもの凄い何かが生じるのだ。
オーラの、魂のかたまりなのだ、としみじみ思う。

ロビーにいらしたので、大野さん!お久し振りです!と駆け寄ると、口が少し動いて、『さ・が・さん…』と。
ご一緒した数年前を覚えていて下さった!感激…。
あの時は本当に有り難うございました、と手を取ると、大野さんの瞳から涙が溢れてその手を強く握り返してくださった…。
もう、涙…。
98歳という年輪…大野さんは美しく、魅力的だった。
4年前、ニューヨークでお目にかかった時、またお会いする事はあるだろうか、と思ったのだが、
こうして日本でまたお元気な大野さんに会えるなんて、本当に嬉しい。
どうぞいつまでもいつまでも、お元気でいらして下さいね!