「大野一雄」を読む

大野一雄・稽古の言葉」を読んでいる。
1977年〜96年にかけての稽古場で語られた彼の言葉集。凄い。ほんとに凄い。
例えば「私の話を聞いていて、どこから始めていいかわからない。わからないところから始めたらいいんですよ。わかったらおかしいんですよ。わからないからやる。思い切り、思いのたけやってみる。…中略…死と生とが一緒になって、離れがたくひとつだ。死がやってくる、ということがあるんですよ。そういうなかでおもいっきり好きな事やってごらん」
「いくらテクニックでやったって、自分の内部に無いのもはいくらやったって響いてくる事はないですよ。間違いないです。自分の心にある内的状態って言うのは、全部見ている人にはわかるわけでしょう。隠したってわかるんです。魂って何だろうか。魂の願いって何だろうか。魂は何を伝えようとしておるのか。切実な問題ですよ。日常生活の中において、踊りのなかにおいて、どうしても伝えたいことが熟してきてね。伝えたいんだから、とこうやって、引き裂いて見せなければ伝わらないわけですよ」
等…、命の迸りに圧倒される。芸術は同じ目を持っていると、しみじみ思う。大野一雄さんとの貴重な共演を、有難く、想い返す。