姜泰煥さん

循環呼吸で紡ぎ出される切れ目の無い美しいロングトーン
倍音を出し同時に二つの音が重なり合うハーモニクス
姜泰煥の演奏を始めて耳にした時の衝撃は今もはっきりと脳裏に残っています。
深い哲学が根底にある姜さんの音楽は韓国の伝統的スケール基づく独特の即興音楽を展開します。
初めて共演した時、そのお人柄も含めて一度で大好きなミュージシャンになりました。
初共演の日の休憩時間に韓国でのDUOのツアーを依頼され、数ヶ月後にはソウルを中心に
数箇所を回ることになります。

姜さんの美しい「音」と人の「声」は驚く程相性がよく「極東奇談」というユニットとして、
彼が来日するたびに、佐藤允彦氏、齋藤徹氏、白石かずこ氏、大友良英氏…と色々なゲストを交え演奏を重ねました。
そして韓国にも幾度と無く招聘されました。

彼は日本語は殆ど分かりません。そして私は、韓国語は全く分かりません。
でも意思の疎通に何の不自由も感じないのです。思えば不思議な事です。
片言のカタカナ英語とほんの少しの日本語で、殆どの事は分かり合えるようになりました。
いえ…それって多分最初からそうだった気がします。面白いです。
「ユー・ベリースバラシイ」「スコシ・ハングリーデス」なんていう調子で会話は弾みます。

明日の日曜は、久々の姜さんとの共演です。
姜さんとの最高に相性のいい齋藤徹さんとのトリオです。
久々にあの懐かしい姜さん語が聞けるのも楽しみのひとつです。