やまとさんのこと…2

やまとさんから「スーホの白い馬」を今度やるんだ、と聞いた時どれ程驚いたか。
勿論「見に行く!」と即答した。
行っておいてよかった…。
悲し過ぎるけど、今思えば、行っておいて本当によかった…。

そしてその後すぐ、やまとさんから「ゆきさんの声でイメージが沸いた!考えがあるんです。一緒にやりましょう!」
と電話があり、8月18日に富山のダムを借り切って、市を巻き込んで、着々と計画を練って人選も済み、
真夏の夜に壮大なステージが広げられる…はずだった。

何度もやりとりしたメール…。
ぽつんとそのまま途切れてしまった。

今日、やまとさんの葬儀が富山で行われた。
私は列席出来なかったけれど、綺麗に片付け、掃除を行き届かせ清めた自宅で、真っ白い花を沢山飾り、
いい香りのお香を焚き、黒い服を着て心静かに一人でやまとさんのお葬式をした。
そしてずっと「埴生の宿」を歌った。
空に向けて。やまとさんに届くように。

やまとさんの最後の台本は、蝋燭を皆で持って、私の歌う「埴生の宿」が最後のシーンで流れる事になっていた。
やまとさん、聴こえた?精一杯歌ったよ。
涙で霞んだ初夏の空は、本当に蒼かった…。