そこに山があるから

さがゆきソロが終わった。あぁ、終わったのだ…。
なぜソロなんかやるんだろう。自分を追い詰めて、苦しみのどん底に突き落としてまで(笑)。

ソロをやるために、数日前から体調を整えていく。環境の全てをソロに向かって調整していく。
そして終わってから、またゆっくりカラダとタマシイを元の状態に戻していく。
ソロは命ごと燃やし尽くす荒行。だから何年に一度しか出来ない。

いつだったか、ソロではないが、富樫雅彦さんもそんな事を言ってたっけ。
富樫さんはあんな体だったという事もあるが、15日間かけて一つのライブに向かい、
15日間かけて元に戻して行くのだと。

なぜそうまでして、人は音楽をやるのだろう。
恐らく登山家がなぜ山に登るのかと言う問いに「そこに山があるからだ」と答えるのに
似ている。
頂上に立った時、全ての苦しみはきっといっぺんに吹き飛ぶのだから。

私にとっての山頂は演奏そのもの。どんなにそれまで緊張していても音楽が始まったとたん、
時空がぐにゃりとカタチを変える。そこは別天地なのだ。極楽なのだ。至福な時間なのだ。

人との共演も、基本的には各々がソリストでなくてはならない。
一人でしっかり立てる者だけが、他人との真の時間を共有出来ると思う。

そしてきのうは、ずっとやり続けている「さがゆき完全即興ワークショップ」の生徒たちみんなで
最後に演奏するというサプライズを設けた。
しっぽ、優子、陽子、おちょこ、ナオヤ、チハッチ、ゆうき、タニ、ナカテ、ミナ、マリ、みんなとってもよかった。
培ってきたことが着実に実を結んで来ている実感…素晴らしかった。
あななたちは、私の誇りです。

きょうは一日廃人でした(笑)。寝たきりさがゆきの、甘い癒しの時間…。

満席のエアジンって、あんまり見たことないかな(笑)。ありがたいなぁ。
さがゆき一人舞台を聴いて下さったみなさん、感謝、感謝、感謝…です。
本当に聴いてほしいのはこれだった…!

全ての出会いは偶発的な贈り物である(中山信一郎)。