金大煥さんの事


きのう、三月一日は韓国太鼓の第一人者、金大煥(キムデファン)さんの命日だった。
日本での初共演で意気投合。間も無くソウルに招かれ、その後も幾度となく
韓国、日本両国で共演を重ねる事になった。

ちょうど私の誕生日をソウルで迎えた時、知らないうちにライブハウスAll that jazzを
借り切って、SaxのJohnさんのユニットも呼んでバースデー・パーティを企画してくれ、
驚かされた事もあったっけ…。

亡くなる数日前、そんな事は初めてだったのだが、いきなり家を訪ねて来て、自分で書いた
額と、手彫りの般若心経がしたためた象牙の判子を、これ持っていてね、とくれた。
上がりもせずお茶の一杯も飲まず帰ってしまったのたが、思えばあれが彼との最後…。
何だか自分の死期を予知していたような気がしてならない。
いや、彼の事だから、全て分かっていたに違いない。

旋風のように時代を駆け抜けて行った、黒い服しか着ない魔人。
美味しいお酒を飲んだ時と、いい演奏だった時の、あのくしゃくしゃな笑顔が恋しい…。