渋谷毅さん

30日、ドルフィー渋谷毅さんとのデュオ。
小雨だったけど、いっぱいのお客様。

旅、レコーディング…と、この所超多忙な渋谷さんは、今日は珍しく一口だけビールに口をつけた後は、コーラなんか飲んでいる。疲れていて、風邪っぽくて、しんどそうなんだけど、それが却っていつもより余計子供みたいで、可愛く感じちゃう…。
年上の、しかも達人をつかまえて失礼な話なんだけど、時々渋谷さんは、弟のような、息子のような気がしてしまう…。本当にフシギな人だ。

人を想う感情って、色々あるんだな、と思う。
親を想う。姉妹を想う。異性を想う。弟子を想う。友を想う。
渋谷さんって、そのどれでもないような、どれでもあるような…。
自分でもよく分からないけど、とても大切に想っている事は確かだ。

この日は「雨の遊園地」じゃなく、スタンダード。
バラードが中心の、ちょっと古めの渋いスタンダードをいっぱい歌う。
渋谷さんのピアノは、本当にいいなぁ…。

渋谷さんの演奏を聴くと、いつも見える景色がある。
 夏休みの昼下がり。人気の少ない田舎の道。真っ黒に日焼けした4年生位の男の子が、駄菓子屋の前で自転車を止める。「おばちゃん、ラムネちょうだい。」男の子は汗ばんだ小さな手で、ポケットから何枚か硬貨を出す。麦藁帽子を脱ぎ、カラカラ、って音を立てて、一気にラムネを飲む。
遠くのほうで、風鈴売りのおじさんの声がかすかに聞こえる…。

これが私の「渋谷ワールド」。
あの男の子はもしかしたら、子供の頃の渋谷さんなのかも知れない…。