四十九日

澄んだ冷たい空気の中を歩く。駅から母の家までの道。
道端の花や家々を見て、お喋りしながら二人で幾度となく通ったこの道。
妹と二人、口数も少なく歩く。

今日は母の四十九日。
母の家からは遠くベイブリッジマリンタワーや富士山が見える。
きちんと片付いた部屋で、母は大好きな黄色い花に囲まれて微笑んでいる。

何だか不思議な夢の中にいるような49日間だった。
昼も夜も時間も生も死も、もうごちゃごちゃだ。
体中の水分が無くなるんじゃないかと思ったけど、まだ水分は残っているらしい。
人間って変な生き物だ。
それでも眠って、食べて、歌って、トイレに行って、テレビのお笑い番組を見て、掃除をして、洗濯をして、笑ったりもする。

少し分けてもらった母の骨を、自分の家に連れて帰る。
今日から二人暮し。やったー。