生徒の結婚式

私が最初に人に歌を教えることになったのは、市川りぶるのオーナー須田さんに、
ある子を教えてやってくれないか、と頼まれて始めたのがきっかけ。
その後人づてに生徒は増えて行き、気が付くと教え始めてもう12年の月日が経っている。

最初の頃来ていた、飛びぬけておっとりした18才の女の子が、ある日真剣な顔で
私にこう問いかけて来た。
「先生、ドラえもんとキティちゃん、どっちが好きですか?」
小学生みたいな突然の意外な問いに面食らった私が「えっ!?…あなたは?」と聞き直すと
その子は、当たり前じゃないですか、と言わんばかりの満面笑みで、「私はドラえもんです!
だってキティちゃんってなんにもしてくれないじゃないですか…。」
…こんな子がまだ居るんだ、とビックリしながら、何だか妙に感動したっけ。

あっという間に10年の月日が経ち、今日は大人になったその子の、晴れの結婚式だった。
初恋が実ったという、純粋な彼女らしい結婚。
誠実そうな新郎と初々しい彼女がとても眩しかった。可愛かった。
きっと彼女らしい、あったかい家庭を築くんだろうな。

生徒三人で学園祭で歌をうたうというので、学校まで行った事もあったっけ…。
今日は二次会で、When I fall in loveを新郎に向けて歌った彼女。
コーラスしたのは、あの時学園祭で一緒に歌った生徒。
自分の結婚式で、堂々と歌い切ったふたり…素敵だった。立派だった。
初めて彼女が歌う姿を目の当たりにした新郎の、あの驚いた顔は忘れられない。
そして、私の最初の生徒・第一号も、今日浜松から列席した。
やはり昔の生徒で、数年ぶりに会った子も来た。
生徒同士がとても仲がいいのが、何だかとても嬉しい。
4人の初代の生徒たちとの特別な時間は、涙、涙、涙…。
先生冥利に尽きるとはこの事だなぁ、と感慨深い1日でした。
内川…じゃなかった、濱田直美!おめでとう!!