奨励賞

14歳の時に私を歌手として売り出そうとしてくれた中島先生。
数回、四谷の事務所に通い、レコードのA面B面、と曲も出来(昔のドーナツ盤)
ジャケットの写真も撮り、あと一歩でデビュー、というところで、
内緒でやっていたのが父にばれ、逆鱗に触れ、殺されそうに(笑)なる。
当然その話は流れ、結局また私は一匹狼でジャズの世界で生きる事になった。

本当に好きな音楽だけをこうしてやっていられるのも、今にして思えば
あの頃は恨んだ、ダイッキライだった父のおかげなのかな。
あの頃アイドル・デビューしてたら、どうなっていたんだろう。
数年後に「あの人は今」みたいな番組に出てたかも、なんて思う。

自分はこれでよかったのだが、中島先生には本当に悪い事をしてしまった。
去年、ふとした事で、先生と再会した。
それから何度も先生は、生徒さんや妹さんを率いてライブに聴きに来てくれた。
自分の音楽を貫いている事をほめて下さった。
「うた」というものに対する考え方が似ていると言って下さった。

明日は先生の関連の人たちの音楽を頑張っている人に送られる賞の授与式。
なぜか私は、奨励賞、なんてものを頂けるらしい。
直々の生徒であった訳でもないのに、何だか申し訳ない。
でも先生と、こうしてまた時を超えて出逢えたという事、ご縁は切れては
居なかったのだという事が、なんとも不思議で、有り難くうれしい。