日常

よかった…思い切って、ほんとに思い切ってやってよかった!
停電やなんかで、来たくても来られない人達や遠方からは、たくさんメールが着てた。
来られた人は大勢は居なかったけど、でも、ほんとに素晴らしい時間だった。
完全アコースティック。部屋の真ん中に、お互いを聴き合う形で輪になって、譜面だけを照らす灯り。周りにぐるっとお客さん。
10年振りの友の顔もあった。久々に会った音楽仲間も来てくれた。
みんながキューっと寄り添ってひとつになっていた。 何度も涙で譜面が滲んだ。

地震直後は、直接何も出来ない自分が、なんだか要らない存在のようにすら思えて、
自衛隊やお医者さんや、直接命を救える人たちを見て、非力な自分を卑下しそうになった。
こんな時に音楽しか出来ないヤツなんて…と。
でも違う。
私が歌ったからって誰かの命が助かる訳でも、おなかが膨れるわけでもないけれど、
でもそういう事じゃないんだ。こんな時だからこそ、とかでもないんだ。

明日、直下型がドン、と都心に来て、自分が死なないと、誰が断言出来るか。
そうでなくても、事故や心臓や梗塞でいきなりポックリ逝かないと、誰が断言出来るか。
いつだって、死とは隣り合わせなはず。
守りには入りたくない。やれたであろう事をやり残して後悔もしたくない。
普通に何か出来る以上、普通にいつも通りにやる。ただ、日常を淡々と。
だって生きてるんだから。
命って、ジッとなんかしていない。動いて、燃えているんだから。

今日聴いてくれた人たちから、ライブを中止しないでやってくれて有難う、とか、
元気な気持ちになった、というメールをもらった。
そのメールからは目に見えないエネルギーが溢れていた。
元気なエネルギーは風に乗ってどこまでも広がって行くんじゃないだろうか。

止まっちゃうとエネルギーってどんどん枯渇しちゃうんじゃないかな。
元気は元気を呼ぶんじゃないだろうか。

こうして「生きている」という、有り難い奇蹟。
大切に、思い切り、命を使わせて頂かないとね。