富樫雅彦さん


今日は富樫雅彦さんの七回目の命日です。2007年8月22日、心不全で67才という若さで天国に逝ってしまった富樫さん。初めてご一緒したのは、イン・エフでのセッション。1人づつ彼とデュオで演奏するというスリリングなライブでした。涙が出るほど素晴らしかった!私との演奏を終えたすぐ後、富樫さんからユニット組もう、と言われました。びっくりした…。嬉しかった…。それからすぐ新宿PIT-INNを頼まれて、彼の「富樫雅彦インプロヴィゼイション・クインテット」という新しいユニット(富樫雅彦Perc、井野信義B、翠川敬基Cello、雨宮拓P、さがゆきVoice)はスタートしました。物凄く楽しかった!

彼は直前まで、今日やる譜面を見せてくれないのです。ドキドキしていると、開演20分位前に、はい、今日これやるからね、って、やっと見せてくれる。慌てて読んでいると、2分くらいでスッと譜面取り上げられちゃう。もう見たでしょ、って。目を白黒させている私に、ゆきちゃん、譜面って絵なんだよ、さーっと景色として見ればいいの、って。沢山の絵を描いてらっしゃる富樫さんらしいけど、凄い…。素晴らしいライブが終わると、ね!音楽ってほんとにイイよね!って少年のように興奮してお話なさる…。本当にステキだったなぁ。

ある日お家に招かれて伺いました。自然に囲まれたゆったりしたお家にはご自分で採取した沢山の蝶々や、描かれたヒマラヤ始め山の絵…。弟さんも一緒に、笑いが絶えない夢のような時間…。奥様の心尽くしのお料理、どれもこれも美味しかった!トマトに甘くて不思議なドレッシングも忘れられません。

「ユーは子供の頃どんな音楽聴いてたの?」と富樫さん。「あ、白い波って知ってますか?ボサノバなんてまだ日本にあまり無い頃の、ユキとヒデって人が歌ってた」すると富樫さん、ふふふと笑い、奥様に、「あれ聴かしてやんな」って。掛けてくれたのは正に白い波!「これ、ナベサダが作って、僕がドラム叩いてるんだよ。」わぁ、そうなんだ、知らなかった!そうか…富樫さんとは子供の頃から繋がっていたんだ…。

もっともっと一緒に演奏したかった。もっともっと、いろんな話したかった。
大好きな富樫さん、たくさんたくさん、ありがとうございました。
合掌…。